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佐賀県唐津市のフリーペーパー「からっちゅ!」のブログ

唐津市相知町相知、創業100年以上の老舗「藤田羊羹本舗」

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 みなさん、こんにちは。からっちゅ!制作のヤマモトです。

からっちゅ!Web版にはフリーペーパーからっちゅ!に掲載しきれなかった情報を発信しよう、という目的があります。...あったのですが出来ていませんでしたので、どんどんこちらも更新していこうと思います。

 

ということで今回はからっちゅ!6月号(2020)より
唐津市相知町相知にある創業100年以上の老舗羊羹屋さん
「藤田羊羹本舗」についてお届けします。

みなさん羊羹は好きですか?僕は好きです。

昔から羊羹と言いますか、甘いものが好きなのでとても楽しく取材させてもらいました。

羊羹の製造について知ることができましたし、取材後は羊羹の切れ端をもらったりと、2つの意味で美味しい取材となりました。

 

取材:藤田羊羹本舗五代目藤田皓正さん

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ーー藤田羊羹を継いだのはいつ頃からですか?

 

藤田さん:店を継いだのは30歳の時ですね。30歳になってから、店を継ぐのか継がないのかを決めようと思っていました。それまでは会社員をしてまして、ちょうどそのころ結婚をして子どもも生まれて。

 

ーー羊羹は昔から作っていたり?

 

藤田さん:店を継ぐまで、羊羹を作ったことはなかったんですよ。父親が作っている姿は見てきたんですが。

 

ーー羊羹を作るのは難しいというイメージがあります。

 

藤田さん:初めて作るときは難しそうと思っていました。材料や量を間違えないようにして、あとは機械の扱いや製造の流れを覚えれば、なんとかなりますね。最初の半年ほどは父親と一緒に作っていました。

 

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白あんの昔羊羹

 

ーー...小さいころのおやつには羊羹が出てたんですか?

 

藤田さん:小さい頃はふつうに洋菓子が好きでした。意外と羊羹は出てこなかったですね(笑)

 

ーー藤田羊羹本舗の歴史について教えてください。

 

藤田さん:創業は大体100年くらいです。正式にはわかってないんです。僕のおじいさんが生まれるか生まれないかくらいのときに店を始めたそうなので、僕のおじいさんが生きていたらまあ、100歳くらいになるので。

 

ーー最初から唐津市の相知で?

 

藤田さん:最初は小城の方で修行していたんじゃないかと思います。もともとは小城の方に住んでいたそうなので。何も習わない状態ではできないはずです。

 

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羊羹を型から外す作業

藤田さん:藤田羊羹ができる前から相知には羊羹屋さんがあったかもしれないんですよ。昔の地図を見ると羊羹屋の記述があったりするので、あったらしい、としか言えないんですが。相知の図書館に行って調べたんですがわからずじまいでした。創業した時がわからないというのは結構歯がゆくて。誕生日がわからない、みたいな感じですかね。

 

ーー藤田羊羹の羊羹づくりについて教えて下さい。

 

藤田さん:型から取り出すときは外縁の部分を切り取ります。端の方に水分が寄っていたりするので。昔羊羹は水分量を少なめにしています。味がしっかりしていて、濃いです。
反対に練り羊羹はやわらかめにしています。

 

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切り分けられた昔羊羹

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「素材を楽しむ小城羊羹」(練り羊羹)Tea&Space基幸庵にて撮影

ーー羊羹の味や作り方は創業当時から変わらず?

藤田さん:味はそこまで変わっていないですね。味というよりもパッケージを変えています。若い人向けに手にとってもらいやすいようにと、あとはお土産に選んでもらえるようにという思いがあります。

 

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「素材を楽しむ小城羊羹」パッケージ

藤田さん:使用する豆によって分量などは若干変えています。白あんは他と比べると少しやわらかくなるので、出来上がりの水分量も少し調整していますね。

 

ーーすだち羊羹に目を惹かれます

 

藤田さん:すだちは結構独特ですね。相知がすだちの産地だったんですよ。昔は町をあげてすだちを推してて。すだちジュースとかすだちまんじゅうとかですね。相知をすだちで盛り上げるみたいな。

 

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すだちの原料

 

藤田さん:すだちは皮をむいてペーストを作ります、果汁を絞って少し加水して。皮をミキサーにかけてつぶつぶにして、それでペーストにしています。

 

ーー羊羹づくりで難しい工程はあったりしますか?

 

藤田さん:機械で羊羹を練っていくんですが、火を止める瞬間で羊羹の固さや食感が変わるんです。遅いと固くなりすぎたりとか。最後は弱火で調整するんですけど、それでも1分くらいで全然食感が変わってくる。ヘラで固さを確認するんですが、このあたりの感覚は数値化できないです。ただ、ずっと見続けるのであんまり失敗したことはありません。

 

ーー羊羹づくりのこだわりなども教えて下さい

 

藤田さん:餡は佐賀市のものを使っています。餡は作ってすぐ使わないと行けないのであんまり遠方のものは使えないんです。冷凍とかだと質が落ちることもあるので。こだわりとしては、着色料とかを使わないことですね。ここ2~3年で入れなくして。小豆には赤、抹茶には緑と、以前は使用していました。着色料を入れると発色が良くなって、そっちのほうが売れるんです。ただ、着色料が無害と言ってもそれを溶かした水を飲めって言われると飲めないわけで、そういうものを商品に入れたくないないという思いもあって着色料は使わないようになりました。

 

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昔羊羹の乾燥の工程

 

ーー好きなお菓子は羊羹ですか?

 

藤田さん:お菓子はチョコレートが好きですね。

 

ーー羊羹ではないんですね!

 

藤田さん:羊羹も好きです。好きな羊羹は藤田羊羹と似ている羊羹。やっぱり小さい頃から自分のところの羊羹を食べて来ているので、自分のところの羊羹が「羊羹」なんですよ。羊羹も各店で少しずつ違って。柔らかさとか味の濃さとか。
自分のところの羊羹では練り羊羹のつぶあんが好きですね。つぶあんは豆を煮て、それを練って作っています。

 

ーー最後に今後の展望を教えてください

 

藤田さん:今、言われているのは一口サイズの羊羹を作ること。...なんですがそれをするには機械を買わないといけなくて。今切っている羊羹をさらに半分にするのは大変な作業なんです。まあ、やれよという話なんですが(笑)

 

ーー新しい味を作る、などはどうですか?

 

藤田さん:新しい味などは特に考えてないですね。ゆくゆくは出せたらとは思うんですけど、それよりはパッケージに力を入れていきたいです。まだ変えられてない商品もあるので。

 

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贈答用のパッケージ

 

藤田羊羹本舗

住所:佐賀県唐津市相知町相知1528-7

電話:0955-62-2726

営業時間:9:00~17:00

店休日:日曜

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